源氏物語、2024年大河ドラマ化決定
大河ドラマの舞台は基本的に戦国、幕末時代が圧倒的に多いことで知られています。
今年は徳川の世が来て平和になったと思ったら来年はもう幕末で徳川の世が終わったり、ほぼその繰り返しです。
で、2023年もまた徳川公の出番となるわけですが、そのあとにやってくるのが、なんと紫式部=源氏物語です。
いったい誰が予想したでしょうか?
源氏物語の全巻読破の壁
先日訪れた美術館の一室に、源氏物語の画帳や屏風が展示されていました。
その場所で私は物語のどの場面なのか当てる源氏物語検定を勝手に始めていましたが、正解率はわずか二割ほどでした。
私はこれまで源氏物語の通読に何度もチャレンジしてきた過去があります。
しかしそこには必ず立ちふさがる壁がありました。
それは物語の長大さ、登場人物の多さ、そして名前の覚えにくさでした。
しかもその名前すらころころ変わっていくので誰が誰なのやらもう追跡できません。
さらに事あるごとに交わされる平安貴族たちの歌の波状攻撃にはもうお手上げ。
こうなったらマンガだと、評判の漫画版源氏物語にも手を出してみたのですが、こちらはまた別の理由で挫折しておます。
登場人物の女性たちは平安貴族ですからヘアースタイルは基本黒髪ロング、衣装もいわゆる十二単姿でマンガに描かれています。
つまり全員がおなじスタイルだから見分けがつかないのです。
登場人物の見分けがつかないマンガなんて、はたしておもしろいでしょうか。
結局私は源氏物語の通読を何年も先送りし、美術館の王朝ものの前を素通りするようなアートリテラシーの低い人間のままでした。
源氏物語の逆輸入版で全てはうまくいった
そんな劣等感を感じながらも源氏物語通読の悲願は諦めていませんでした。
そしてある日、amazonのアルゴリズムが一冊の本をリコメンドしてきたのです。
『源氏物語 A・ウェイリー版』です。『源氏物語 A・ウェイリー版 (全4巻)』をamazonで調べる
これは世界で初めて源氏物語を英訳したアーサー・ウェイリーさんの『The Tale of Genji』を日本語に翻訳し直すという逆輸入的源氏物語です。
源氏物語全54帖を4冊に分けて収録していて一冊がレンガのように分厚いのですが、全巻クリムトの絵画で装丁されていてエレガントな雰囲気です。
クリムトといえば琳派の影響も受けていると言われてますし、そもそも琳派は王朝文化に憧れた人たちの系譜ですから、そんなコンテクストが込められたられたおしゃれな装丁です。
エレガントなのは装丁だけではありません。
アーサーウェイリーは王朝文化を自国〈英国〉文化に置き換えて表現することで、英語圏の人たちの理解を促す工夫をしています
例えばこんな感じです。
- 酒→wine
- 牛車→wagon
- 数珠→rosary
- 衣装→doress
- 六条御息所→Lady Rokujo
で、『源氏物語 A・ウェイリー版』では俳人と詩人のインテリ姉妹が和洋折衷の絶妙な和訳技を見せています。
- 酒→wine→ワイン
- 牛車→wagon→馬車
- 数珠→rosary→ロザリオ
- 衣装→doress→ドレス
- 六条御息所→Lady Rokujo→レディ・ロクジョウ
『源氏物語 A・ウェイリー版』実際に読んでいくと不思議に違和感はなくて、むしろこれまでにない源氏物語体験に没入してしまいました。
そしてなんと実にあっさりと全4巻読了してしまったのです。
実はいくつか訳だしされていない帖があるのですが、それでも源氏物語を語れるだけのリテラシーはばっちり身につきます。
未訳の帖は改めて従来の現代語訳版を読んでコンプリートさせたらいいでしょう。
でもその時以前挫折してしまったことを思い出してしまうかもしれません。
だがしかし心配無用です。
すでに『源氏物語 A・ウェイリー版』で物語のキャラクターや背景を理解していますから、かつて挫折の要因だった障害のほとんどが取り除かれています。
意外なほどスムーズに読むことができるはずです。
源氏物語を攻略する方法はひとつじゃない
さてここまで私の源氏物語攻略の道のりをお話してきましたが最後にまとめです。
源氏物語を山に例えてみるとほとんどの人がいくつかの有名なルートから登り始めますが、次々と脱落していきました。
有名なルートだからといって簡単なルートではなかったからなんですね。
でも諦めずに別のルートを探していたら意外なところにイージーでなおかつエレガントなルートがあったんです。
それが『源氏物語 A・ウェイリー版』です。『源氏物語 A・ウェイリー版 (全4巻)』をamazonで調べる
そのルートで一回源氏物語の登山の成功体験をしてみることをおすすめします。
正統派のルートも次からは比較的イージーに登ることができるようになるかもしれませんよというお話でした。