東京ありがた記

東京ありがた記

Arigataki is written in Tokyo.

デールカーネギー『人を動かす』の失敗例

人を動かす人は誰か?

あの人は人心掌握に長けていたという。

政治の世界でよく言われる「看板、地盤、鞄」、すなわち「ブランド、フォロワー、金」をもともと持たないところからスタートしたあの人が権力の座にまでついたのもその能力の賜物。

人心掌握の要諦は相手の欲求のありかを知りそれを満たすことにあるようです。

最高権力者になってまずあの人が断行したことは携帯電話通信料の値下げ。

高い携帯電話通信料への不満は蓄積していました。

この不満を解消すればいい。

着任間もないあの人にとっては人身掌握のための一歩だったのかもしれません。

そして実際に毎月の通信料は下がりました。

私の場合、半額以下になりました。

しかし私にはあの人の功績という思いが希薄です。

それよりもむしろ現金投下の欲求の方が強いようです。

通信料は時間とともにその値下げ効果が現れてきますが、それを実感するまでに時間がかかります。

やはり現金投下ほどのインパクトはありません。

逆になぜ現金投下をしないのかという不満が蓄積してしまいました。

それから数ヶ月が無為に過ぎていきます。

これまでのノウハウがまったく通用しないあの人は、持てる能力を発揮できず、「人を動かせない」ままでいます。

そして私たちはそんなあの人を責めに責め立てています。

ここでふと思うのです。

「人を動かす」ことは私たちがするべきなんじゃないかと。

ここでデールカーネギーの『人を動かす』三原則を思いだしましょう。

  1. 相手を批判しない
  2. 素直で誠実な評価を与える
  3. 強い欲求を起こさせる

この3つのことをなぜか私たちはリーダー側に求めていることに気づきます。

しかしこれは私たちがリーダー側に対して行うこともできるはずです。

というよりも私たちはすでにやっています。

それも真逆のことをやっちゃってます。

直接会って話したことのない人のことを批判しています。

通信料値下げをしてくれたことを忘れて評価を与えていません。

あの人の気持ちになってどうすれば行動してくれるか働きかけていません。

人心掌握は権力者だけに必要とされた能力ではないと思います。

発想をひっくり返してみてはどうでしょう。

権力者を動かしたっていい。

権力者だって動かせるというお話でした。

【参考図書】

『人を動かす 新装版』デール・カーネギー