東京ありがた記

東京ありがた記

Arigataki is written in Tokyo.

ネットに降臨した坂東玉三郎さんにこの先期待したいこと。

2020年の春は、色んな人が自宅からコンテンツを発信していましたよね。

歌舞伎役者の坂東玉三郎さんもそのひとりでした。

人間国宝のお方です。

 

 

坂東玉三郎の自宅で起こったこと。

まずは玉三郎さんが自宅で舞踊のお稽古を披露してる動画をご覧ください。

坂東玉三郎ビデオメッセージ

その場所は自宅マンションの廊下でしょうか、壁も天井も床も真っ白。

白い椅子とその上に置かれたノートPCまで白。

もちろん玉三郎さんのお召し物も白。

「白の廊下」で舞う玉三郎さんこそまさに日本の宝。

それにしても踊るにはいささか窮屈さを感じる廊下です。

玉三郎さんのマンションですらこんな間取りなんですから、このスタイルが今の日本のスタンダードなのでしょうか?

 

坂東玉三郎邸を映画の巨匠はいかに思うか?

玉三郎さんの動画の少し前、私は小津安二郎監督の映画を観ていました。

そこには日本家屋の廊下が気持ちよく広々として映っていました。

その明るくて広い廊下の端々に古美術の箱が置かれていたり、登場人物が歩いたりしていました。

当時の着物のデザインが案外大胆だったのが印象的です。

かつて何がいいのかもわからないままボーっと小津映画を見ていた私。

そしていつの頃からか私はアート好きになっていきました。

興味は古今東西の美しいものに拡大していきました。

小津安二郎監督の映画は日本文化の美そのものです。 

さらに小津安二郎による日本の住宅空間の構成が美しいのです。

その構成要素は例えば、開け放たれ襖、物干し竿と洗濯物、畳の上のオヒツやヤカンだったりします。

どれも生活感があるものばかりです。

しかし小津監督の構図を通すと生活感が消失していくのです。

まるで現代アートを見ているような気分になります。

さすがに小津監督いえども玉三郎さんのマンション、ひいては最近の日本の住宅でいい絵を撮るのは難儀なことでしょう。

もしも坂東玉三郎さんがユーチューバーになったら。

玉三郎さんの配信動画は、玉三郎さんが作陶している様子まで紹介されています。

趣味の範囲なんでしょうけど、京都の樂家から土をわけてもらってるというのです。

ギリシア神話のミダースは触ったもの全てを黄金に変える能力、「Midas touch」を持っていたそうですが、玉三郎さんの場合、触るもの全てを国宝に変えてしまいそうな「タマサブロータッチ」でしょう。

玉三郎さんの樂茶碗見てみたいですね。

できることなら一服いただきたい。

いや、一服いただかなくとも結構です。

玉三郎さんには歌舞伎界初のユーチューバーとなっていただきたい。

「国宝!玉三郎チャンネル」立ち上げる日を私は待っています。

〈記事ここまで〉