『サピエンス全史』を読んだ(ことにした)私の場合、“虚構“という概念に興味を持ちました。
そんな新しい視点を持つと物事の見方が変わってきます。
その頃私は『山椒大夫』という日本の古典映画を観ていたのですが、サピエンスの虚構とはこういうことなのかもしれないと思わせる世界がありましたので紹介します。
『山椒大夫』〈1954〉
溝口健二監督
物語の舞台は平安時代末の日本。
平家が支配していた時代です。
経済も政治も宗教でさえすべての秩序は平家によって統制されていました。
つまり平家による壮大な虚構の上に築かれた社会です。
貴族たちは各地に荘園という私有地を持ちそこからの年貢を収入源としていました。
貴族から荘園の管理を任されているのが山椒大夫という極悪人です。
虚構というフィクションははたとえそれが善でも悪でも見知らぬ人々を団結させてしまうチカラがあります。
山椒大夫はその力を利用して荘園を支配しているのでした。
世の中をどう見ていますか?
物語はやがて厨子王という主人公によって予想外な結末をもって終わるのですが、新しく得た視点はそれからも待ち続けています。
そして最近こんなことを思うのです。
私たちが毎日生活している世の中ってやつは、いつかどこかのサピエンスが作った虚構でいっぱいだなあと。
見分けがつかないようにずっとカモフラージュされたままここまできたけど、そろそろバレだしてきている。
そんなフィクションに心当たりはありませんか?
〈おわり〉